無菌医薬品の製造に関するガイドライン
第1節 EU(PIC/S)GMP Annex 1の歴史
第2節 Annex 1の構成と項目タイトル目次
第3節 PIC/S GMP Annex 1 解説
1.適用範囲
2.原則
3.医薬品品質システム(PQS)
4.建物
・バリア技術
・クリーンルーム及び清浄空気設備の適格性評価
・消毒
5.設備
6.ユーティリティ
・製薬用水システム
・直接滅菌剤として使用される蒸気
・ガス及び真空システム
・加熱,冷却,及び油圧システム
7.人員
8.製造及び特定の技術
・最終滅菌法による製品
・無菌操作及び加工
・無菌製品の施栓
・滅菌
・加熱滅菌
・湿熱滅菌
・乾熱滅菌
・放射線滅菌
・酸化エチレンガス滅菌
・最終容器中での滅菌が不可能な製品のろ過滅菌
・フォームフィルシール(FFS)
・ブローフィルシール(BFS)
・凍結乾燥
・クローズドシステム
・シングルユースシステム(SUS)
9.環境及びプロセスのモニタリング
・全般事項
・環境及びプロセスのモニタリング
・環境モニタリング-総微粒子
・環境及び人員のモニタリング-微生物
・無菌プロセスシミュレーション(APS)
10.品質管理(QC)
用語集
巻頭言
2022年9月,ようやくPIC/S GMPガイドラインのAnnex 1改訂版が公表されました。苦節,約7年の長い改訂作業に終止符が打たれたわけです。
2015年2月にPIC/SとEMAから改訂案のコンセプトペーパーが提出されたことから,本格的な改訂作業が開始され,我が国もこの改訂作業に参加すべく,厚生労働科学研究「GMP,QMS,GCTP及び医薬品添加剤のガイドラインの国際整合化に関する研究」の研究班でもその対応のためのチームを編成しました。このチームには元PMDAのGMPエキスパートである佐々木次雄氏をはじめ,日本製薬団体連合会品質委員会,日本PDA製薬学会,ISPE日本本部 無菌COP及びコンテイメントCOPから,本書にも執筆していただいている錚々たるメンバーが参加してくださいました。
Annex 1の改訂に際して,2014年にPIC/S加盟を果たした我が国は,PIC/SのAnnex 1改訂ワーキングループのメンバーとして環境モニタリング及びシングルユースシステムの改訂案文作成を行いました。特にシングルユースシステムについては,従来のAnnex 1にはない新しい技術であり,官民一体となって,どのような内容を規定すべきか,ゼロから議論を行いました。
その後,各国当局等の確認を経て完成した改訂案文に対し,6,000以上のパブリックコメントが寄せられ,Annex 1改訂作業への世界的な関心の高さがうかがえました。日本からも当局,業界の意見を取りまとめ,パブリックコメントを提出しています。
パブリックコメントを反映した改訂案文に対するパブリックコメントも実施され,各国当局等限りの議論を何回も間に挟みながら,ようやく実際の改訂までこぎつけたのです。
改訂されたAnnex 1は,現在の科学水準を踏まえて,これまで明確にされていなかった内容を明文化することや,品質リスクマネジメントの概念,シングルユースシステムなどの新しい技術についても言及されたものとなっています。
一方,PIC/S加盟当局として我が国は,加盟後すぐにPIC/S総会及びセミナーを2019年に日本で開催すべく,PIC/S事務局と交渉し始めました。総会はPIC/S執行部及び事務局で運営しますが,セミナーは開催国がテーマを決定し,全体のトレーニングを運営します。当時のPIC/SのトレーニングのSub-committeeのリーダーと,2019年のPIC/Sセミナーのテーマ案について直接相談しました。私はこのAnnex 1改訂作業が2019年には概ね形が出来上がっていることを想定し,「無菌医薬品の品質保証」のテーマを提案しましたが,リーダーの反応は厳しいものでした。「非常に難しいこのテーマなので,かなり趣向を凝らさなければセミナーは成功しない」とSub-committeeのリーダーに告げられました。そのため,当時のPMDAメンバーと考えたのは,医薬品製造所で撮影した動画を題材にしたワークショップ形式を取り入れ,参加者が主体的に参加し,学習効果を高めることでした。その結果,PIC/S総会及びセミナーの日本誘致がうまくいき,2019年11月に世界各国・地域から約160名の参加者を富山に迎えて開催したセミナーでは,無菌医薬品の製造作業を画像で見ることで汚染リスクの抽出など活発な議論が展開され,成功裡にセミナーを終えることが出来ました。
また翌日には,東京にて日本製薬工業協会主催のシンポジウムが開催され,当時のPIC/S Annex 1改訂ワーキンググループに参加していたMHRAとANSMの査察官から,改訂の途中経過の報告や,英国・フランス・米国・ロシア・ブラジル・サウジアラビアそして日本の,それぞれのGMP査察官による各国のGMP査察に関するパネルディスカッションも行われました。当シンポジウムの資料は,まだ日本製薬工業協会品質委員会のウェブページ※にて確認が出来ますので,興味のある方はご覧いただきたいと思います。
さて,本書の話に戻しますが,今回の執筆者らは無菌医薬品の分野では国内でも著名であり,かつAnnex 1改訂作業に参加いただいた方々から構成されており,極めて優れた解説書と言えます。国際的な品質保証を目指す製造業者の方のみならず,製造販売業者や製薬産業サポート企業の方々に,是非読んでいただきたいと思います。
2024年12月
櫻井信豪
※日本製薬工業協会 品質委員会:無菌医薬品の品質保証と最新のGMP査察動向に関するシンポジウム
[https://www.jpma.or.jp/information/quality/index_symposium.html]
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