できる薬剤師とよばれるために
訂正情報
第Ⅰ章 医薬品の適正使用を進めるための情報ツール
Q 1素早く回答するための添付文書の読み方は?
Q 2副作用はどの程度まで説明する?
Q 3重篤な副作用の症状はどのように説明する?
Q 4RMPの上手な使い方は?
Q 5PMDAの審査報告書を具体的に活用するには?
Q 6禁忌でも使用することはある?
Q 7適応外でも使用可能なことはある?
Q 8腎排泄型と肝代謝型はどのように判断する?
第Ⅱ章 各種医薬品製剤の適正使用
Q 9医薬品の有効期間は、どのようにして決められている?
Q 10CYPを介した相互作用の程度はどのように判断する?
Q 11後発医薬品を選ぶときは何を比較したらよい?
Q 12薬の飲み忘れに気づいたときは、どのように対応する?
Q 13服用後、嘔吐した場合の対応は?
Q 14経口製剤の吸湿はなぜ起きる?
Q 15錠剤の変色はなぜ起きる? 変色しても服用できる?
Q 16一包化の際に注意すべきことは?
Q 17OD錠と舌下錠の違いは?
Q 18OD錠にできない薬もある?
Q 19苦味を生じる薬物は化学構造式からわかる?
Q 20苦味を生じる薬物を飲みやすくするには?
Q 21経口抗がん薬の粉砕や脱カプセル時は、どのように薬物被曝を防御する?
Q 22全身作用型テープ剤を繰り返し貼付すると作用は増強する?
Q 23全身作用型テープ剤が剥がれたときはどうする?
Q 24全身作用型テープ剤の貼付で注意すべきことは?
Q 25経口剤ではなく全身作用型テープ剤を選択したほうがよい場合とは?
Q 26局所作用型と全身作用型のテープ剤とで構造上の違いはある?
Q 27強い作用で注目のロコアテープ、その理由と期待される用途は?
Q 28軟膏剤やクリーム剤の塗布方法や順番は?
Q 29軟膏剤とクリーム剤の具体的な使い分けは?
Q 30軟膏剤とクリーム剤は混ぜてもよい?
Q 31インスリン製剤に超速効型から持効型まで揃えられているのはなぜ? 製剤学的工夫とは?
Q 32インスリンは注射部位によって効き方に違いはある?
Q 33注射剤の配合変化は、どのように予測する?
Q 34TPNの無菌性、安定性を保持するには?
Q 35水溶性基剤と油脂性基剤の坐剤で挿入順序はある?
Q 36坐剤挿入後、すぐに出てしまったときはどうする?
Q 37点眼剤の使用順序の決め方は?
Q 38点眼剤でも全身的な作用はある?
Q 39眼内移行しやすい薬物は、どのような構造? 物性?
Q 40吸入剤の使用順序に決まりはある?
Q 41SABAの使用で注意すべきことは?
Q 42粉末吸入剤とソフトミスト吸入剤の使用法の違いは?
Q 43経鼻吸収製剤に適用できる医薬品は?
第Ⅲ章 配慮を要する患者における医薬品の適正使用
Q 44高齢者の薬の服用で注意すべきことは?
Q 45服薬補助ゼリーを用いる際に注意すべきことは?
Q 46簡易懸濁する際に注意すべきことは?
Q 47粉砕できない薬剤はどのようなもの?
Q 48小児薬用量はどのように決める?
Q 49小児と成人で代謝酵素が違うものはある?
Q 50eGFRとCCrの違いとは?
Q 51腎機能低下時の投与設計の考え方は?
Q 52薬剤による腎機能低下の発現機序とは?
Q 53腎機能低下患者に使える痛み止めは?
Q 54肝機能低下患者の投与設計の考え方は?
Q 55肝機能低下患者で避けるべき薬剤とは?
Q 56薬物の胎盤通過性はどのように予測する?
Q 57薬物の母乳移行性はどのように予測する?
Q 58薬剤の催奇形性はどのように予測する?
Q 59更年期障害時に注意すべき薬剤は?
Q 60術前・口腔内治療前の休薬の考え方とは?
Q 61認知機能低下のため過量服用した場合の危険度はどのように判断する?
第Ⅳ章 薬効別 医薬品の適正使用
Q 62薬を減らしたがっている患者への対応は?
Q 63睡眠薬を長期服用している患者で確認することは?
Q 64ベンゾジアゼピン受容体作動薬の減薬の進め方は?
Q 65睡眠薬と併用すると催眠作用の発現に影響する可能性がある薬とは? その原因は?
Q 66頓服の処方における服薬間隔はどのように設定する?
Q 67発熱していれば抗菌薬は必要?
Q 68耐性菌が生じないようにするためには?
Q 69抗がん薬の副作用の説明で、欠かせない注意点は?
Q 70骨髄抑制を起こす抗がん薬の場合、どのような説明をすべき?
Q 71抗がん薬による間質性肺炎の症状は感冒症状と区別できる?
Q 72医療用麻薬の説明で欠かせない注意点は?
Q 73消毒薬はどのように選ぶ?
Q 74地域の健康、衛生環境の維持・改善を担う薬局および薬剤師として、 災害の発生に備えて、平時から行うべき感染症対策は?
Q 75繁用されている下剤の特徴と使い分けは?
Q 76酸化マグネシウムの投与時に注意すべき薬物間相互作用とは?
Q 77漢方処方の考え方とは?
Q 78服用時の水の温度は薬効に影響する?
Q 79エキス剤と煎剤の違いとは?
Q 80漢方製剤で注意すべき飲み合わせは?
第Ⅴ章 飲食物・健康食品、併用医薬品との相互作用を考慮した適正使用
Q 81経口投与した薬物の溶解速度は、血中濃度にどのような影響を与える?
Q 82薬を水以外の飲料で服用した場合、どのような影響がある? 特に飲料のpHの影響は?
Q 83薬を服用するときに飲む適切な水の量と温度の影響は? ガス入りの水は薬の吸収に影響する?
Q 84アルコールと一緒に薬を飲むとどうなる? -薬物動態学(pharmacokinetics:PK)的相互作用の観点から-
Q 85アルコールと一緒に薬を飲むとどうなる? -薬力学(pharmacodynamics:PD)的相互作用の観点から-
Q 86苦い薬をお茶で飲むと苦くない?
Q 87消化管吸収(消化管での代謝を含む)が食事によって影響を受ける薬物の 化学構造あるいは物性に特徴はある?
Q 88免疫抑制剤のシクロスポリンとタクロリムスとでは、消化管吸収に及ぼす食事の影響が異なる?
Q 89バナナジュースと薬の飲み合わせで注意すべきことは?
Q 90フルーツジュースと薬の飲み合わせで注意すべきことは?
Q 91グレープフルーツジュースの薬効への影響は薬の構造と関係する?
Q 92投与間隔を空ければ相互作用は回避できる? どのくらい時間を空ければよい?
Q 93栄養素が薬理作用をもち、薬の作用に影響を与えることはある?
Q 94健康食品の摂取は医薬品の作用に影響する?
Q 95サプリメントを多種類服用してもよい?
Q 96乳酸菌と抗菌薬は一緒に服用できる?
Q 97ダイエット、ケトン体ダイエット、人工甘味料は薬効に影響する?
Q 98AGEs、各種ビタミン、ポリフェノールの体内での化学反応とは?
Q 99ある抗アレルギー薬で副作用を発現する患者に対して、 化学構造を基本として対処できる?
Q 100化学構造を用いて比較すると薬物間相互作用や副作用発現を回避できる?
総合課題 Q101 新型コロナウイルス感染症
Q 101-1新型コロナウイルス感染症治療薬の発見に向けた創薬戦略とは?
Q 101-2新型コロナウイルスに対するワクチンの特徴は?
Q 101-3新型コロナウイルスのエアロゾル感染とは?
『できる薬剤師とよばれるために 上手に使いたい薬学ナレッジ101』
発刊にあたって
2016年度調剤報酬改定から評価が始まった“かかりつけ”薬剤師(薬局)ですが、2018年度の改定で対人業務評価への転換がより明確となってきています。薬剤師法第25条の2で定められた情報提供義務『必要な薬学的知見に基づく、個々の患者への適切な薬学的指導を行っていくこと』は薬剤師のあるべき姿、そしてその薬剤師を育成していく基盤となる薬学教育を考えるうえでも要となる条文です。2019年に実施された「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(通称:薬機法)の改正に伴って、薬学的知見に基づく指導が薬局業務として法的にも確立されています。また、継続的な指導とその記録の保管が求められるようになっています。超高齢社会となった後も高齢化率が上昇しているわが国において、薬剤師は地域連携薬局の構成員として、医療・介護・予防・住まい・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築に関係者と連携しながら積極的に関与していく必要があります。また、専門医療機関等との連携を深めながら、より高度な薬学管理や栄養学を含めた高度な専門的知識を基盤として、がんや難病などに対する医薬品の適正使用に貢献できる専門医療機関連携薬局の薬剤師としての活躍が期待されます。このような社会の変化に対応し、患者や他の医療職種の信頼を得るために薬剤師の力量がますます問われています。一方で、これまでの薬学教育に欠けていた臨床とのつながりを意識した基礎薬学教育を基盤とする大学での教育が求められるようになってきています。
本書は、日常の薬剤師業務とりわけ薬局薬剤師の業務としておさえておきたい101項目について、課題解決に必要な大学で学んだ基礎的内容を気軽に学び直しながら、臨床への応用力を鍛えることを目的としています。そのため、本書には他書にはないいくつかの特徴があります。
① 取り上げた101課題は、アドバンス課題を除く全てが、薬剤師(主として保険薬局)に対して行った「臨床で困ったこと」についてのアンケート調査に基づいて作成しブラッシュアップしたものです。
② 基礎から臨床までをつなぐ統合的な教育を意識し、医薬品の化学構造や物性値とも関連付けながら課題の説明を行っています。私が学長として2018年10月に開催した臨床・基礎薬学連携シンポジウムを踏まえ、薬学の基礎的知見を上手に使って臨床現場の課題を解決していくコツを学べるようにしています。
③ 全課題のうち34課題を製剤に関する課題としています。医薬品のプロとして、薬物分子としての特徴に加えて投与される製剤としての特徴を十分に理解し念頭におきながら医薬品の適正使用を推進できる薬剤師の育成を図っています。
④ 薬剤師が今後さらに力を発揮するためには、「栄養学」を薬学教育に取り込んでいくこと、とりわけ、薬学の特徴的科目である「薬理学」や「薬物動態学」と融合した「栄養薬学」を確立し、モデル・コアカリキュラムに組み込んでいく必要があると考えており、本書においても「栄養薬学」を先取りした課題を多数加えています。
⑤ 各課題には、執筆者以外に一次査読者を配置し(編集者が一次査読者となる場合もありますが)、大学での基礎教育と臨床現場での実践の両方の視点が各課題の解答作成の過程で入るようにしています。
⑥ さらに、課題のなかに今後の医療の進展を見据えたアドバンス課題を取り入れるとともに、この1年半、私たちの生活の中心的課題である新型コロナウイルス感染症を取り上げ、大学で学んだ基礎的知見に基づいた課題解決方法を試みています。
以上のような特徴をもつ本書が、大学基礎教育と臨床現場をつなぐ架け橋となり、大学の基礎教員と臨床現場の薬剤師との連携が進展し、薬学の発展、薬剤師の職能向上につながることを祈念しております。
編集は、当初、北河、矢野、中川、土生の4名でスタートしました。化学構造を踏まえて編集が行えるように考えたこと、パーキンソン病患者である私の体調の関係もあって進行が遅れたため全体を見渡して編集ができる教員を補充しておきたかったこともあり、清水、中村の2名を加えて6名としました。結果として、重厚なメンバーとなりコロナ禍で世の中が大きく変動するなか、社会の変化も見据えながら慎重に編集を進めることができました。
なお、課題の提案、執筆、査読、編集に多数の大学教員、薬剤師の皆さんに関与していただいています。本書に対する期待は高く、「臨床で困ったこと」について、私が所属していました大学の卒業生をはじめとして保険薬局に勤務する多数の薬剤師の皆さんに、課題の提案およびブラッシュアップに非常に熱心な協力をいただきました。厚く御礼申し上げます。臨床現場等での経験を生かして査読にご協力いただきました松田裕子、大塚美智、孫尚孝の三氏に御礼申し上げます。また、最後に本書の企画から一貫して長期間にわたってご協力いただきました株式会社じほうの大磯洋彦氏、編集作業を行うなかでご尽力いただきました山下裕美氏をはじめとする担当者の皆さんに深謝します。
2021年11月
編集者を代表して
北河 修治
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