認知症 気づけるわかるケアできるQ&A50

¥2,420

●認知症患者対応の悩みや問題を解決するヒントが満載!
●医師や他職種、患者・家族らの質問に答えやすいQ&A形式

本書は、認知症に携わる医療職、介護職、患者・家族がよく遭遇する疑問・悩みへの解決策をコンパクトに解説。認知症を理解するのに欠かせない基本的な知識から、早期発見のために確認すべきポイント、より良い患者ケアを実践するコツまで、認知症医療の最前線で活躍する著者ならではのQ&A50本を取り上げました。医療機関で、在宅で、地域で、認知症患者への対応に自信がもてる1冊です。 

編著
編著:久米 明人(久米クリニック)
   山村 恵子(愛知学院大学薬学部)
発行日
2016年5月
判型
A5判
ページ数
132頁
商品コード
48513
ISBN
9784840748513
カテゴリ
目次

現場でよく遭遇する医療者のQuestion

 

 Q1 もの忘れと認知症はどう違うのですか?

● 認知症の分類

 

 Q2 認知症と高次脳機能障害はどう違うのですか?

● 認知症と高次脳機能障害との違い

 

 Q3 認知症と間違えられやすいケースはありますか?

● 認知症と間違えやすい疾患

 

 Q4 ロコモやサルコペニア、フレイルは認知症と関連するのでしょうか?

● ロコモ、サルコペニア、フレイル 

 

 Q5 認知症の早期発見にはどのようなポイントがありますか?

● 早期発見 

 

 Q6 アルツハイマー病は何が原因となり、どのような危険因子があるのでしょうか?

● アルツハイマー病の原因・危険因子 

 

 Q7 認知症を予防する方法はあるのでしょうか?

● 認知症の予防法 

 

 Q8 認知症の診断はどのように行われるのですか?

● 認知症の診断 

 

 Q9 認知症と診断された患者・家族には、どのようなことを心がけてもらうべきでしょうか?

● 診断を受けたらまずすべきこと 

 

Q10 認知症は遺伝するのでしょうか?

● 認知症に関わる遺伝子 

 

Q11 糖尿病があると将来認知症になると聞きましたが、本当ですか?

● 糖尿病と認知症リスク 

 

Q12 認知症で死ぬことはあるのでしょうか?

● 認知症の進行 

 

Q13 認知症の薬には、どのような種類がありますか?

● 治療薬の種類 

 

Q14 認知症の薬にはどのような作用・副作用がありますか?

● 治療薬の作用・副作用 

 

Q15 認知症の薬はどのくらいで効果が出るのでしょうか? 症状が変わらない患者にはどのように対応すべきでしょうか?

● 治療薬の効果発現時期 

 

Q16 認知症の薬の飲み忘れ・貼り忘れには、どう対応すべきですか?

● 飲み忘れ・貼り忘れへの対応 

 

Q17 患者さんから服薬を拒否された場合は、どのように対応するべきでしょうか?

● 服薬拒否への対応 

 

Q18 認知症の薬が追加されたら、どのように説明すればよいのでしょうか?

● 治療薬追加の説明 

 

Q19 認知症の薬を飲むと、長生きできるのでしょうか?

● 認知症治療による嚥下機能改善 

 

Q20 “記憶力を良くする”という健康食品は薦めてもよいのでしょうか?

● 健康食品・サプリメント 

 

Q21 メマンチンを早期から服薬したほうが認知症の進行を抑えられるのではないでしょうか?

● 早期のメマンチン投与 

 

Q22 介護を行ううえで家族・介護者自身が気をつけるべきことはありますか?

● 認知症カフェ 

 

Q23 日常生活では、どのようなことに気をつけてもらうべきでしょうか?

● 心がけたい生活習慣 

 

Q24 車の運転をやめてほしいのですが、どうすればよいでしょうか?

● 車の運転をやめさせるには 

 

Q25 介護保険の申請はどのように行うのでしょうか?

● 介護保険申請 

 

どう答える? 患者・家族、介護者からのよくあるQuestion

 

Q26 認知症の家族を介護していて、つい腹を立ててしまいます。怒らないようにする方法はありますか?

● 介護中に怒らないようにするには 

 

Q27 認知症の親に独りで外出させるのが心配なのですが、どうしたらよいでしょうか?

● 外出させるのが不安な場合は 

 

Q28 認知症と診断されたのですが、家事や孫の世話、地域の活動などはやめて治療に専念するべきでしょうか?

● 家事はやめるべき? 

 

Q29 認知症が治らないなら、薬を飲む意味はありませんよね?

● 治らないのに飲まないといけないの? 

 

Q30 40代ですが、最近大事なことを忘れることが多く、仕事でミスが続いています。若年性認知症でしょうか?

● 若年性認知症の症状 

 

Q31 親のもの忘れがひどくなりました。早く受診させるべきでしょうか? また、受診を拒否するのですが、受診させる上手な方法はありますか?

● 受診を嫌がる場合には 

 

Q32 親が軽度の認知症であることを医師から家族だけに告げられました。本人に話すべきでしょうか?

● 家族に診断が伝えられたら 

 

Q33 親がレビー小体型認知症と診断されました。どのような症状がみられるのでしょうか?

● レビー小体型の症状 

 

Q34 夫がレビー小体型認知症と診断されましたが、どのようなことに気をつけるべきでしょうか?

● レビー小体型への対応 

 

Q35 妻が初期の認知症と診断されましたが、プライドが高いため診断を受け入れません。もの忘れや勘違いで迷惑をかけているのですが、家族や友人には診断について話すべきでしょうか?

● 周囲の人には知らせるべき? 

 

Q36 独り暮らしの親が軽度の認知症と診断されました。買い物や家事はきちんとできていますが、このまま独り暮らしを続けさせても大丈夫でしょうか?

● 軽度認知症の独り暮らし 

 

Q37 病院に連れていくのが大変なのですが、薬だけをもらうことはできませんか?

● 受診を嫌がる場合には  

 

Q38 親が認知症と診断され、将来に大きな不安を感じています。これからどうなっていくのでしょうか? どうしたらいいのでしょうか?

● 家族が認知症と診断されたら 

 

Q39 認知症の親が最近怒りっぽくなり、病院で薬での治療を勧められました。あまり薬は飲ませたくないのですが、ほかの方法はありますか?

● 薬を使わない対応

 

Q40 認知症の親に興奮を抑える薬が出されました。1日中ぼんやりするようになり動作も鈍くなったのですが、薬をやめると興奮が戻ってしまうかもしれません。どうすべきでしょうか?

● 抗精神病薬の副作用 

 

Q41 認知症の親は感情の起伏が激しくなり、興奮しやすくなりました。介護の仕方に問題があるのでしょうか?

● 興奮の原因と対応 

 

Q42 認知症の親が夜眠らずに家の中を徘徊するようになりました。解決できますか?

● 徘徊対策 

 

Q43 認知症の親がいつのまにか外出して迷子になり、夜になって警察に保護されました。身体は元気なので、1日中家から出さないわけにもいきません。どのような対策がありますか?

● 徘徊対策 

 

Q44 認知症の親はセルフケアがきちんとできなくなってきました。手伝わず、自分でやらせるほうがよいのでしょうか?

● セルフケア 

 

Q45 認知症の親は口数が少なくなり、質問にうまく答えられなくなってきました。上手にコミュニケーションをとるには、どうすればよいでしょうか?

● 患者とのコミュニケーション 

 

Q46 認知症の親が家族の顔もわからなくなり、会話もなくなり、1日中部屋で座っているだけの生活となりました。どのように接するとよいのでしょうか?

● 高度認知症患者とのコミュニケーション

 

Q47 ショートステイの施設で妻が笑顔で話すのを久しぶりに見ました。私も介護疲れを感じているのですが、施設に預けたほうがよいのでしょうか?

● 施設への入所

 

Q48 認知症の親は、高血圧と糖尿病のため食事療法を我慢して続けてきました。残りの人生は好きなものを食べさせてあげてもよいでしょうか?

● 生活習慣病の食事療法

 

Q49 認知症の親が食事中にむせたり失禁したり、移動が遅くなったりしています。これらも認知症の症状でしょうか?

● 進行期の食事支援

 

Q50 親の認知症が進行してきたのですが、トイレで工夫できることはありますか?

● 進行期のトイレの工夫

序文

●臨床医より

筆者が地域の開業医として認知症に関わり始めた12年前は、徘徊や興奮が問題となっていた時代で、患者さんの安全確保を目標に治療を行っていました。その後、認知症の啓発は進み、医学・医療も進歩したことで、認知症の日常診療は大きく変化しました。早期の診断が可能となり軽度認知障害(MCI)と呼ばれる患者さんが出現する一方で、認知症が進行して寝たきり状態となり、往診の必要な患者さんも増えました。また、患者さんの尊厳を守り、その意思を尊重して治療とケアが選択されるようになりました。

MCIの患者さんは、診断を告知されて混乱する場合もあります。また、運転や仕事、金銭管理に影響が表れると、権利譲渡や成年後見制度について検討され始めます。さらに、在宅療養を続けるか、施設へ入所させるべきか、介護者へのレスパイトケアは必要かなど、治療やケアの見直しは常に行われます。そして、転倒・骨折、肺炎のたびに短期入院を余儀なくされ、末期には家族が終末期ケアの選択をしなければなりません。これらのすべての局面で認知症患者さんのご家族は待ったなしの決断を迫られます。

本書は、そのようなときに迷わず判断できるよう、医療や介護の現場でしばしば遭遇する疑問とその答えをQ&A形式でまとめました。本書が認知症に関わる方々の一助となれば幸いです。

 

平成28 年5 月

久米 明人

 

●薬剤師外来に携わる薬剤師より

世界初の認知症治療薬ドネペジル塩酸塩(アリセプト)が1999年に日本で発売され、その後、2011年にはさらに3種類の治療薬が臨床の場に登場しました。“時計を半年戻すことができた”と薬の恩恵を感じている方がいる一方、“効果を実感できない”などと自己判断で服薬をやめてしまいがちなアドヒアランスの低い薬剤であることも、認知症治療薬の特徴です。

そこで、服薬の意義を理解していただくため、名古屋大学病院では2000年に“いきいき脳活性”薬剤師外来を開設しました。開設して間もなく、面談した家族の方から「薬のことはどうでもいいから、これからの生活のためになることを教えてほしい」とご意見をいただきました。この声は“服薬支援のためには、生活の様子まで踏み込んで傾聴することが大切である”と心に刻む好機となりました。

これまでの15年間、筆者が患者・家族の方から頂いた質問の1つひとつに対応した記録を本書でQ&Aとしてご紹介できることに感謝申し上げます。本書があらゆる方にとって、認知症に対応する局面で少しでもお役に立てば幸いに存じます。

 

平成28 年5 月

山村 恵子