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医師主導治験 改正GCP省令のポイント

¥2,860

●治験制度改革の中心的人物が直接解説!
改正GCP省令、新GCPガイダンスを真に理解して治験を劇的に効率化する必読書!!


医師主導治験は、さまざまな手続きや作業の煩雑さによって、スタッフの少ない病院などでは『医師「死亡」治験』などと批判されてきました。本書は、平成24年12月に改正されたGCP(Good Clinical Practice: 医薬品の臨床試験の実施に関する基準)省令とそのガイダンス作成の中心的役割を担った著者による実務ポイントの解説書です。過剰な手続きや必ずしも必要でない作業を徹底的に効率化し、さらに研究費の取り方や適切な利益相反の管理にも触れ、本質的な医師主導治験の質を向上させるためにガイダンスを読み解きます。
すべての治験・臨床研究に関係する医師、看護師、薬剤師、CRC必読の書。姉妹書「企業治験-改正GCP省令のポイント」とあわせてご活用ください。

編著
宮田 俊男/著
発行日
2013年9月
判型
A5判
ページ数
168頁
商品コード
45024
ISBN
9784840745024
カテゴリ
目次

序 章 医師主導治験って何? なぜ進まなかったのか?

第1章 GCP省令改正のポイント―治験届けや有害事象報告等の一元化を可能に!―

第2章 GCP運用通知廃止のこころ

第3章 GCPガイダンスのポイント

第4章 さらなる関連通知の改正のポイント

第5章 First in Human試験,POC試験をするために

第6章 適応外薬の解消

第7章 研究費の取り方,利益相反の管理

第8章 医療上必要な未承認薬等のアクセス


資料1 厚生労働省令 第百六十一号

資料2 薬事法施行規則等の一部を改正する省令の施行について

資料3

・「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」のガイダンスについて

・「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」のガイダンスについて

・旧運用通知からの主な改正点

・医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令の目次

資料4 自ら治験を実施した者による治験副作用等報告について

書評

 科学技術の高度化により、医療現場にも大きな変化が生まれている。ところがわが国の医薬品・医療機器開発は、医療の経済的規模に対応する発展はしていない。これに対して政府は、健康医療戦略における日本版NIH構想を打ち立てるなど、臨床応用を志向した開発研究力の向上を国の重要課題として位置づけるようになった。


 臨床開発には要素技術の開発だけでなく、臨床試験のプロセスと結果を行政的に審査するシステムも必要である。薬事承認を得るには企業治験または医師主導治験を実施しなければならないが、制度を理解することは容易でない。新GCP施行以来、わが国の治験は多くの障害に直面してきた。煩雑で重複の多い書類手続きのために過剰な質を要求されるという指摘もある。特にGCP下でのアカデミア主導の臨床試験はハードルが高く、評者自身も東大病院TRセンター長時代に多くの苦労を経験した。このような状況に対し厚生労働省は、日本のGCPの過剰な運用を欧米と同様の柔軟な運用が可能になるよう省令改正や通知廃止、さらに治験手続きのIT化などを進めてきた。


 本書はこうした背景をもとに、心臓外科医としての臨床経験に加えて、厚生労働省において先進医療制度や臨床試験拠点制度、また治験の推進を指導してこられた筆者により、『企業治験:改正GCP省令のポイント』と『医師主導治験:改正GCP省令のポイント』の2分冊の構成で執筆された。それぞれ6章159ページと8章168ページからなり通読するのに手ごろである。GCP省令改正とGCPガイダンスのポイントは両書に共通であるが、前者では「国際的整合性」「統一書式」「IT化」「人材の質確保」「産学連携」について、後者では「First in Human試験」「POC試験」「適応外薬の解消」「研究費取得」「利益相反の管理」「未承認薬へのアクセス」などについて留意すべき点が要を得て簡潔にまとめられている。


 今回の治験制度改革は抜本的な改正であり、医療現場に浸透すれば治験の効率化を促すと期待されている。治験と臨床研究の質向上が求められている今日、本書は治験に携わる者にとって必読書であり、これを多くの方に推薦したい。


自治医科大学 学長

東京大学医学部名誉教授

永井 良三