ポリファーマシーで困ったら 一番はじめに読む本

研修医、新人薬剤師のうちに知っておきたいポリファーマシーとの上手な付き合い方のコツ

¥3,300

●木と向き合い(患者さん自身を知る)、枝葉を整え(薬の有用性と副作用のリスクを評価する)、森を育てる(多職種連携や地域全体の関わり)

本書は『月刊薬事』で連載し、そのわかりやすい文章とイラストを多用した解説が読者アンケートでも大好評だった「みんなで考える臨床ポリファーマシー」を書籍化したものです。ポリファーマシーのみならず、薬物有害事象、潜在的な不適切処方、さらに高齢者問題、Advance Care Planningに関しても詳説した実践的な構成になっているので、繰り返し読んで、内容を自分の血や肉として使えるようになっておきましょう。

訂正情報

編著
吉田 英人/著
発行日
2018年8月
判型
A5判
ページ数
200頁
商品コード
51087
ISBN
9784840751087
カテゴリ
目次

第1章 基礎編

第1回 「ポリファーマシー(polypharmacy)」って何??「ポリファーマシー」の定義・疫学

第2回 なぜポリファーマシーになるのか?そのさまざまな要因

第3回 ポリファーマシーになると何が起こる?ポリファーマシーの光と影

第4回 ポリファーマシーと老年症候群─高齢者の気をつけたいあんなところ,こんなところ

第5回 ポリファーマシーのときに気をつけたい薬の組み合わせ─処方カスケードに御用心

第6回 潜在的に不適切な処方をみつけるツール─Beers criteriaやSTOPP/START criteriaを知っていますか?

第7回 患者さん中心のポリファーマシー対策─木と向き合い、枝葉を整え、森を育てる:木の巻

第8回 薬からみたポリファーマシー対策─木と向き合い、枝葉を整え、森を育てる:枝葉の巻①

第9回 薬からみたポリファーマシー対策─木と向き合い、枝葉を整え、森を育てる:枝葉の巻②

第10回 多職種連携によるポリファーマシー対策─木と向き合い、枝葉を整え、森を育てる:森の巻


第2章 実践編

第11回 Case1:Emergency!救急搬送─複雑に絡み合ったカスケードを解除せよ

第12回 Case2:HELPせん妄!─轍から外れたら薬を使わずにもとに戻せるか考えよう

第13回 Case3:PPI(プロトンポンプ阻害薬)で、PPI(ピンピン生きる)になれる!?

第14回 Case4:玄関開けたら、そこは別世界!家宝はベンゾジアゼピン系薬剤ですか!?

第15回 Case5:“Time to benefit”スタチンの効果をいつまで(天国にいっても!?)期待しますか?

第16回 Case6:かぜ診療の落とし穴─抗菌薬をたらふく飲んでも「コッホ,コッホ」と咳が続いたら…

第17回 Case7:バック・トゥ・ザ・フューチャー!!パーキンソニズムの原因を探しにいこう

 

プライマリケアで長期に処方「する」または「されている」ことの多い内服薬50薬価集

書評

推薦のことば

林 寛之(福井大学医学部附属病院総合診療部 教授)「10剤も処方したら重罪だ」…なぁんて、10剤も内服したら副作用発現率が100%になってしまう。昨今の老年医療では10剤くらいすぐに増えてしまうのも理解できる。しかし、患者さんの利益のために処方された薬の副作用が原因で病気を作ってしまったり、副作用を抑えるために薬をかぶせてさらに新しい副作用が出てしまったりしていたのでは、本末転倒なんだよねぇ。医者の専門性が高くなるにつれ、他の科の処方内容まで十分わからず、薬剤相互作用の見落としも多くなってしまっているのが現実だ。実に情けない話だが、それが現実なのだからなんとかしなくてはならない。医者も専門外はわからないと嘆く気持ちはよくわかる。是非ともかかりつけ薬局の薬剤師さんが目を光らせて、患者さん側の味方になってほしい。そしてそこはかとなく、処方した医者にフィードバックしていただけると・・・めっちゃ嬉しい!本書はポリファーマシーのみならず、薬物有害事象、潜在的な不適切処方、さらに高齢者問題、Advance Care Planningに関しても詳説して実践的な構成になっている。処方カスケードはよくある処方ミスなので、ぜひチェックできるようになっておきたい。患者さんの訴えから「もしかして、薬の副作用?」と気付けることが肝心。薬の副作用に気を付けることも大事だが、本来なら使ってほしい薬が使われていないことも確認できるようにしたい。START criteriaの項はぜひ一読をしてほしい。ただしクライテリアは金科玉条なわけではなく、その限界もコラムで示している点がいい。『ここで孫の手』のレッスンでは痒いところに手が届く情報が満載だ。患者さんも多面的に評価が必要であり、薬だけ処方すればいいというわけではない。患者さんを知ることが臨床では非常に重要なのだから。さて、基礎編が終わったら実践編となっている。高齢者だから、認知症、せん妄なんて当たり前…ではなく、いま一度薬剤の副作用かどうか、二次性の認知機能低下ではないかを疑わないと、その見逃しは患者の人生を大きく左右してしまう。よくある処方薬を中心に解説されているので、暗記しよう。特筆すべきは、コラムがなかなか面白く(クスクス!)、記憶の定着に役に立つ。回文、宮本武蔵、ドラゴンボール、PPK(ピンピンコロリ)など、実に興味深いので、ここだけ? でも読む価値はある(…いやいや全部読んでくださいよ)。本書はどこから読んでもわかりやすい構成になっているので、仕事場に一冊、枕元に一冊、トイレに一冊、お風呂に…あ、防水じゃないからダメか…備えておいて、繰り返し読んで、内容を自分の血や肉として使えるようになっておこう。薬剤師のみならず、看護師、若手医師、元若手医師にも手に取っていただきたい内容になっている。