2025年の薬局・薬剤師

未来を拓く20の提言

¥2,200

これからの地域医療で責任を果たすために、薬剤師よ立ち上がれ、薬局よ生まれ変われ

分業バッシング、薬剤師不要論に戸惑い、将来に不安をおぼえる現場薬剤師、薬局経営者に読んでいただきたい本。これまで進んできた「医薬分業」のあり方の是非を振り返り、今後10年間で大きな変革を迎える地域医療のなかで、薬局・薬剤師が責任を果たすべきポイントを指し示します!

 

本書は、薬局や薬剤師を取り巻く逆風の要因を、医薬分業元年から現在までの薬局業界の動向から分析し、あぶりだした問題点を解決し、これからの地域医療に貢献するため薬剤師・薬局は何をすべきかを、提言のかたちで論を進めていく。
Part1は医療需要・介護需要が増加する2025年に向けて、地域包括ケアの仕組み作りが進められる状況と、そのなかで行政が描く薬局・薬剤師の役割を解説。さらに、いわゆる分業バッシング現象を紹介しながら、その背景にある「調剤医療費高騰」と「薬剤師の仕事」とのアンバランスさへの不満、国民や他医療職からの薬剤師不信を描き出す。
Part2では、逆風が吹き荒れる現状が単なる誤解によるものではなく、医薬分業が進むなかで薬局の選んだ道がそもそも患者指向ではなかったことに要因があることを指摘。薬局が地域住民のものとなるために、もう一度役割を考え直そうと提案する。
Part3は薬剤師の職能に焦点を当て処方箋調剤や調剤報酬算定に意識や関心が集中する現状を見直し、患者の薬物治療に責任をもつ「ファーマシューティカルケア」の概念を職能の柱に置くとともに、医療用医薬品から一般用医薬品まですべての医薬品の供給と管理が法に定められた薬剤師の責務であることを最新指揮するよう求めている。

編著
藤田 道男/著
発行日
2015年4月
判型
A5判
ページ数
188頁
商品コード
47189
ISBN
9784840747189
カテゴリ
目次

Part 1 いま薬局・薬剤師に何が起きているのか

1 アベノミクスと社会保障制度改革

 日本再興戦略と健康・医療政策

 社会保障制度改革国民会議報告

 骨太の方針,規制改革会議の方向性

 ヘルスケア政策に現れた薬局薬剤師への期待   


2 “分業バッシング”の本質

 各界から相次ぐ分業批判-「母屋でおかゆ,離れですき焼き」

 厚生官僚からの問題提起-「公的資金で賄う自覚を」

 マスコミの分業批判-医薬分業に対する理解不足が背景に

 分業バッシングをどう受け止めるか-調剤業務の「見える化」が重要

 薬局調剤医療費高騰の批判-調剤報酬体系のあり方に問題提起


3 薬局・薬剤師批判は2014年度改定にどのように現れたか

 消費税補てん分を除けばマイナス改定

 2,500回超・90%超の薬局に調剤基本料の特例措置-特例対象は全体の3%

 未妥結減算 大手チェーンは回避に動く

 お薬手帳を断れば安くなる 薬局にも形骸化の責任の一端

 24時間調剤・在宅体制の意味するもの-地域包括ケア構築への既定路線

 「地域包括診療料・加算」の意味-医薬分業否定の「原則院内投薬」

 日医総研は院内投薬支援に言及


Part 2 薬局の本質は何か

1 薬局のベースは何か

 保険調剤を歪めたものは何か

 門前薬局中心の受け入れ態勢になった理由-明治以降に法整備も有名無実で推移   

 医薬分業推進策で薬局の新興勢力が台頭

 哲学よりも方法論先行で処方箋応需

 調剤特化によって失った薬局機能-処方箋が薬局への入場券となってしまった

 一般用医薬品を扱わない調剤薬局

 ドラッグストアの台頭が一般用医薬品離れを助長

 コンビニが健康産業に進出

 変化に対応できなければ滅びるのみ

 薬局は多面的な存在である

 あるべき薬局像は示されている

 理想のコミュニティファーマシーを目指す動きも

 提言1 改めて薬局とは何を提供するところなのか考えよう

 提言2 もう一度次世代に必要な薬局像をイメージしよう


2 患者サービスの誤解

 スピード重視の調剤業務の弊害

 門前薬局・マンツーマン薬局の弊害-薬局はどこを向いているのか

 患者がかかりつけ薬局をもたない理由

 薬局で働く薬剤師は「医療の担い手」として認識されているか

 提言3 患者の薬剤師に対するイメージを変えていこう


3 保険医療と調剤ビジネス

 1990年代後半から始まった調剤の“ビジネス”化

 “調剤薬局”の誕生そしてチェーン化へ

 株式会社の保険調剤には自己規制の視点が求められる

 医療提供施設と株式会社

 調剤ポイントの危うさ

 そもそも薬局に「マーケティング」は存在したか

 大手チェーンと地域薬局の発想が同じでいいのか6

 保険調剤の右肩上がりは終焉へ

 薬局の立地依存を根底から覆す2つの要因

 開業医の世代交代も進んでいる

 提言4 マーケティング感覚を身につけよう

 提言5 処方箋調剤依存から脱却しよう


4 個別指導・監査,突合点検から浮かび上がる医薬分業の実情

 保険調剤は公法上の契約

 必要な疑義照会をしないケースや初歩的ミスも

 突合点検により薬剤師の処方箋チェック力も試される

 突合点検で薬剤師から医師への確認の有無が丸見えに


Part 3 薬剤師の基盤は何か

1 処方箋調剤=医薬分業という「錯覚」

 医薬分業とは何かを考え直す

 薬剤師の専権事項「調剤」に対する誤解

 固定観念を打破すべき理由

 薬物治療の責任を負うこと

 日本型ファーマシューティカルケアとは

 対人業務と対物業務

 提言6 改めて医薬分業とは何か考えよう

 提言7 薬剤師とは何か再確認しよう

 提言8 ファーマシューティカルケアを実践しよう

 提言9 新たな調剤手順を理解しよう


2 調製行為にこだわる日本の薬剤師

 調剤室は安全地帯か

 リフィル処方箋は薬剤師の関与が必要不可欠

 テクニシャン,調剤マシンの活用をどう考えるか

 テクニシャン導入が薬剤師不要論につながる?

 テクニシャンで薬剤師の雇用が不安定に?

 薬学的知見に基づく指導とは何か

 提言10 リフィル処方箋の可能性を考えよう

 提言11 薬剤師法第25条の2改正の意味を考えよう


3 疑義照会が医薬分業の根幹

 安全確保・適正医療実現に不可欠

 薬学的疑義が8割以上

 ヒヤリ・ハットでの疑義照会は13%も

 疑義照会の怠慢は薬剤師の過失責任

 提言12 疑義照会を徹底しよう


4 医薬分業の進行とともに一般用医薬品軽視が始まった

 一般用医薬品を「モノ」として軽視する薬剤師

 コアカリでも一般用医薬品の記述は希薄

 薬剤師の関与を義務化した薬事法改正

 医薬品ネット販売の議論は,薬剤師の存在意義が問われたもの

 高いハードルが課せられたスイッチOTC薬・検査薬

 提言13 医薬品ネット販売が何を象徴しているのか考えよう

 提言14 スイッチOTC薬の意味を考えよう


5 薬剤師が求められる情報管理力と判断力

 薬歴作成=調剤報酬請求のため,という誤解

 お薬手帳のゆくえ

 残薬がなぜ発生するのか

 提言15 お薬手帳を活用しよう

 提言16 薬歴の意味を再確認しよう

 提言17 残薬の意味と理由を考えよう


6 「薬剤師的」ものの見方

 6年制薬学は「モノを通して人間を見る学問」への転換

 報酬改定は政策意図を読み込むことが重要

 免許に安住する薬剤師―売り手市場が助長?

 将来に危機感を抱く薬学生が変革の原動力に

 ゼネラリストとしてのスキルアップが必要

 提言18 薬学教育6年制の意味を再確認しよう

 提言19 健康長寿社会と薬局・薬剤師の役割を考えよう

 提言20 真の医薬分業の完成を目指そう