パニック症・社交不安症・恐怖症患者さんのための
●何度も繰り返し練習できる!認知行動療法のはじめの一歩!
不安症は「突然息が苦しくなるのが怖くて、極力電車を避けてしまう」「人前で話そうとすると、心臓が激しくドキドキする」 など、不安になりすぎてしまう病気のことです。薬による治療法もありますが、不安を感じるような考え方や行動パターンにより再発してしまうこともあります。こうした場合、「考え方」や「行動パターン」を見直し変えていく「認知行動療法」があうかもしれません。
本書は不安症のなかでも、特に患者数の多い「パニック症」「社交不安症」「恐怖症」についてやさしく解説しています。それぞれの病気にあった認知行動療法を理解し、ワークシートを使い何度も繰り返し練習できるのが特徴です。はじめの一歩として、医療機関に相談する準備として。まずは、本書で自分と向き合ってみませんか?
こころの健康チェックシート
こんな症状はありませんか?
パニック症/障害(PD)
社交不安症/障害(SAD)
恐怖症(限局性恐怖症、特定の恐怖症)
不安症とは
認知行動療法とは
はじめに身につけよう パニック症・社交不安症・恐怖症に対処するためのリラクセーション法
第1章 パニック症
1 パニック症とは
パニック症チェックリスト
広場恐怖チェックリスト
最も症状がひどかったときのパニック症チェックリスト
最も症状がひどかったときの広場恐怖チェックリスト
パニック症の基礎知識
パニック症に関する用語
病気の理解
生活上の注意
パニック症発症前後の経緯
パニック症と関連のある病気
2 パニック症の認知行動療法
Step 1 まずは自分の状態を知ってみましょう
Step 2 実践してみましょう
Step 3 ふりかえり
第2章 社交不安症
1 社交不安症とは
社交不安症チェックリスト
最も症状がひどかったときの社交不安症チェックリスト
社交不安症の基礎知識
社交不安症の症状
社交不安症が生じる状況
病気の理解
社交不安症と併存することのある病気
社交不安症と混同しやすい病気
2 社交不安症の認知行動療法
Step 1 まずは自分の状態を知ってみましょう
Step 2 実践してみましょう
Step 3 ふりかえり
第3章 恐怖症
1 恐怖症とは
恐怖症の基礎知識
恐怖症の対象と分類
恐怖症と関連のある病気
2 恐怖症の認知行動療法
Step 1 まずは自分の状態を知ってみましょう
Step 2 実践してみましょう
Step 3 ふりかえり
【まえがき】
不安症は、のちの解説にもあるとおり、脳の機能異常によって生じる病気です。機能異常には、お薬(薬物療法)がよく効きます。しかし一方で、症状をどのように捉えて(認知)、どのようにふるまうか(行動)が、症状の改善に大きく影響する病気でもあります。したがって、病気の特性を正しく学び、症状に対する認知的・行動的な対処法を身につけることが、薬物療法と同じくらい重要です。そしてそのトレーニングを効果的に行う方法が、認知行動療法と呼ばれる精神療法(心理療法)です。
しかし、通常、認知行動療法は1 回あたり30 分~1 時間程度のセッションを10回前後行うことが多く、効果は認められるものの、時間とお金のかかる治療法と思われています。そのため実施している医療機関が少なく、残念ながら、不安症の中心的な治療法と胸を張れるほどは普及していません。ただ、実際のところ、すべての患者さんに50 分×10回の認知行動療法プログラムが必要なわけではなく、薬物療法と数回の認知行動療法的アプローチで良くなる方もたくさんいます。限られた診療時間の中であっても、ポイントを押さえれば効率的な認知行動療法を行うことも可能なのです。我々の医療機関では、通常の診療の中でもできる認知行動療法のあり方を考え、これまで試行錯誤を繰り返してきました。その結果、有用だった方法の一つが、患者さんに治療のエッセンスをまとめた冊子をお渡して、診療時間外に読んだり、記録を書き込んでもらったりするという方法です。本書はその冊子をもとにしつつ、新たに書籍として加筆修正を加えたものです。
このような経緯があるので、本書は単なる読み物というより、道具に近いものです。使うことで初めて真価を発揮します。ページをめくるとイラストや表が多いことに気づかれるでしょう。これは主治医と患者さんが一緒に本書を広げ、主治医が図表を指差しながら説明する状況を想定しています。この場合、患者さんは言葉による説明を耳で聞き、それをわかりやすくするための視覚的なイメージを本書から得るという使い方になります。一方で、一度の説明だけでは理解が追いつかないことや、説明を聞くことで疑問が湧いてくることもあると思います。そんなときは、診察室以外の場面でじっくりと本書を読み込んでみてください。本書にはイラストや表と並んで、文字での解説も加えてあります。一つひとつの説明は読んでいて疲れない程度の長さになっていますので、診療の中で説明を受けたページをその日のうちに読み返すと理解が深まるでしょう。ちなみに本書は、診察はもちろん、電車内やカフェなどでも周りの目を気にすることなく読めるよう、カバーを外すと書籍のタイトルや内容がわからなくなるように配慮されています。認知行動療法の一環として、苦手な状況にチャレンジする際は、ぜひ持ち歩いていただき、道具として最大限に活用してもらえたらと思います。
一方、道具としての使いやすさを最優先にしたため、通読すると疾患ごとに同じ記述が何度も登場するなど、書籍としては少し違和感のある作りになっているかもしれません。本書では、パニック症、社交不安症、恐怖症という3 つの不安症を扱っているので、まずは自分に該当すると思うところから読み進め、書き込みをしていってください。そのうえで、その他の疾患のページにも目を通してみることをお勧めします。不安症の患者さんには、複数の症状をもっている方もたくさんいます。例えばパニック症と社交不安症、パニック症と嘔吐恐怖症などのように、複数の観点から治療を進めていく必要がある場合もあります。本書全体に目を通すことは、症状の合併がないかを確かめ、あらためてご自身の症状の実態を把握する機会になるはずです。
本書が不安症で苦しむ皆様のお役に立てることを願っています。
2019年6月
医療法人悠仁会 稲田 泰之
●何度も繰り返し練習できる!認知行動療法のはじめの一歩!
不安症は「突然息が苦しくなるのが怖くて、極力電車を避けてしまう」「人前で話そうとすると、心臓が激しくドキドキする」 など、不安になりすぎてしまう病気のことです。薬による治療法もありますが、不安を感じるような考え方や行動パターンにより再発してしまうこともあります。こうした場合、「考え方」や「行動パターン」を見直し変えていく「認知行動療法」があうかもしれません。
本書は不安症のなかでも、特に患者数の多い「パニック症」「社交不安症」「恐怖症」についてやさしく解説しています。それぞれの病気にあった認知行動療法を理解し、ワークシートを使い何度も繰り返し練習できるのが特徴です。はじめの一歩として、医療機関に相談する準備として。まずは、本書で自分と向き合ってみませんか?
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