トピックス from Jiho[2025年1月上旬]
「期中改定」2025年4月実施へ、供給不安・選定療養への指導加算倍増
厚生労働省は、医薬品の安定供給や選定療養に向けた取り組みを評価する観点から、服薬指導への加算を増やすと発表した。具体的には、2024年度改定で新設した特定薬剤管理指導加算3のロを現行の5点から10点に引き上げる。薬価の中間年改定の年に行う「期中の診療報酬改定」の位置付けで2025年4月の実施を目指す。
同加算3のロは、医薬品の供給不安を理由にした銘柄変更、もしくは選定療養の対象となる先発医薬品を選ぼうとする患者への説明などが算定要件。厚労省は医薬品の供給不安が続き、10月から始まった選定療養では患者に長時間説明している現状を踏まえ「保険薬局の業務負担がさらに増加」していると判断し、プラス5点の加点を決めた。
厚労省は予算編成の状況を見極めつつ2025年4月からの適用を目指す考えだ。今回の期中改定について、保険局医療課は「医療機関や薬局を取り巻く情勢などを踏まえて、業務負担やその効率化を診療報酬上評価するため」と説明。今後の中間年の「改定」について同課は「その時々の状況を見て、改めて判断する」としている。
ー 業務負担増、裏付けに「対応困難事例」も
この日あった中医協総会(写真)では、業務負担増の裏付けとなる資料も示された。安定供給を巡っては、2024年11月時点で全品目の約19%(3182品目)が限定出荷もしくは供給停止になっているなど、いまだ供給不安が続く状況が伝えられた。
選定療養を巡っては、約9割の店舗が患者対応に負担感を抱いているという日本保険薬局協会の調査結果(11~12月実施)を紹介。また東京都薬剤師会の調査(10月15~21日実施)も資料に盛り込み、患者説明に60分以上要した事例のほか、「暴言などのハラスメントを受けた」「特別の料金が発生することに理解が得られない」など一定数の薬局が「対応困難事例」に遭遇していると示された。
会合で森昌平委員(日本薬剤師会 副会長)は、「クレーム対応を含め、患者への説明や対応は現場の薬局・医療機関が引き受けている」などと理解を求めた。委員からは大きな反対意見は出なかったが、期中改定について、「(対応すべき課題は)政府の決定を待つのではなく、まずは(中医協の)議論の俎上に載せるべき」「改定の効果を検証した上で見直しの必要性を判断することが本来の流れ」などの指摘もあった。
ー 社会保障費は38兆円に、薬価削減も5600億円増
この日あった2025年度予算編成を巡る財務、厚生労働両大臣折衝で、薬剤費を2466億円(国費648億円)削減した上での社会保障関係費を38兆2800億円(前年度比5600億円増)と決定。その上で、厚労省が期中改定の枠組みを固めた。
期中改定への予算規模は「現在予算編成過程中で検討・精査をしている現段階でお答えすることは困難」(保険局医療課)と説明。一方で、「薬価を引き下げて生じた財源を使って今回(の期中)改定を行うのではなく、(医療機関や薬局の)業務負担や、その効率化を診療報酬上で評価した」と述べた。
|2024年12月25日・PHARMACY NEWSBREAK|
外部委託は許可制、健サポは認定薬局に 次期薬機法改正
厚生労働省は厚生科学審議会・医薬品医療機器制度部会(部会長=福井次矢・社会医療法人雪の聖母会聖マリア病院 常務理事)で、医薬品医療機器法(薬機法)の改正に向けた取りまとめ案を示し、委員から了承を得た。調剤業務の一部外部委託の解禁や、健サポ薬局の認定制度化などを盛り込んだ(表)。取りまとめの報告書は同日の議論を受けて一部修正し、年明けに公表する。厚労省は来年の通常国会に薬機法改正案を提出する方針だ。
取りまとめ案では、一包化の外部委託について、薬局薬剤師の対物業務を効率化し対人業務にさらに注力できるようにするため、「薬局の所在地の都道府県知事などの許可」により可能とする方針を示した。患者への医薬品提供の遅れや、服薬指導が不十分になるなどの問題が生じないようにすることが必要とも明記した。
また、現在、国家戦略特区で進められている実証事業の状況も踏まえ、受託・委託双方の薬局に必要な基準を設けるとともに「両薬局の開設者および管理薬剤師に係る義務や責任を法令上規定すべき」とした。
ー 地域連携薬局は在宅の拠点に
薬局機能の在り方の見直しは、2016年に省令で規定された「健康サポート薬局」と、2021年の前回薬機法改正で導入された「地域連携薬局」の役割・機能の再整理が柱。地域で在宅関連の拠点機能を備えるのが地域連携薬局、健康・介護相談やセルフメディケーション支援などの拠点機能を有するのが健サポ薬局と位置付け、違いの明確化を図る。「地域住民がこれらの薬局を利用するメリットを認知できるようにする必要がある」と周知・広報の必要性にも触れた。
また、現在は届出制となっている健サポ薬局を地域連携薬局と同様、薬機法上の認定薬局に格上げする。認定要件などの見直しは改正法施行までの期間に詰める見通し。
ー 地域連携薬局は在宅の拠点に
このほか調剤済みの処方箋と調剤録の保存期間を「5年間」とすることや、薬局機能情報提供制度の報告先を薬局開設の許可権者と同一とする方針も示した。
次期薬機法改正(薬局・薬剤師関係)のテーマ①
(PHARMACY NEWSBREAK、2024年12月26日より引用)
|2024年12月26日・PHARMACY NEWSBREAK|
零売は原則禁止、乱用薬販売も規制強化 次期薬機法改正
医薬品医療機器法の改正に向け、厚生労働省が医薬品医療機器制度部会に示した取りまとめ案では、医薬品の販売制度の見直しも並ぶ(表)。処方箋医薬品以外の医療用医薬品を処方箋なしで販売する、いわゆる「零売」は原則禁止し、例外的に認める「やむを得ない場合」を法令上規定する。乱用の恐れのある医薬品の販売規制も強化する。
零売に関しては、これまで旧医薬食品局長通知で定めていたルールを薬機法に位置付け、法的拘束力を持たせる。零売が可能なやむを得ない場合として、医療用薬が不測の事態で手元にない状況で、一般用医薬品で代用できない事態などを想定している。
ただ、漢方薬・生薬については、過去に一般用薬があったものの現在は医療用薬しか販売されていない品目があるなどの特殊事情を踏まえ、「現場での販売に支障を来さないよう適切な形で対応する」と記載した。
社会問題化している市販薬の乱用問題への対策では、エフェドリンやコデインなど6成分を含む乱用の恐れのある医薬品の販売方法を見直す。日本チェーンドラッグストア協会が「売り場などへの有資格者の継続的配置」などを盛り込んだ業界ガイドラインを作成すると宣言したことを受け、顧客の手の届かない場所への陳列や、名前・住所といった機微な購入者情報の記録・保管などは一律には求めない。
ー 要指導薬のオンライン販売可能に
これまで対面販売しか認められていなかった要指導医薬品については、オンライン服薬指導により必要な情報提供を行った上での販売も可能とする。ただ、対面でのみ販売できる「例外」も設ける方針。また、一定期間を経過しても一般用薬に移行しない要指導薬のカテゴリーも新設する。いずれも今後、対象範囲や基準を検討する。
一般用薬のリスク区分について厚労省は当初、現行の第2類と第3類を統合する案を示していたが、最終的には維持する方向で落ち着いた。販売時の薬剤師・登録販売者の関与の在り方が不明確との指摘があったことを受け、指針などで明確化を図る。その効果を検証した上で、リスク区分の見直しについて「引き続き検討すべき」とした。
ー 一般用薬の「遠隔販売」解禁
薬剤師・登録販売者が常駐する店舗(管理店舗)によるデジタル管理の下、有資格者が不在の店舗(受け渡し店舗)で一般用薬を保管・販売する「遠隔販売」の解禁も盛り込んだ。当分の間は「管理店舗と受け渡し店舗は同一都道府県内」とし、制度導入後の検証を踏まえて、都道府県またぎなど、より広範囲での制度導入を検討していく。
次期薬機法改正(薬局・薬剤師関係)のテーマ②
(PHARMACY NEWSBREAK、2024年12月26日より引用)
|2024年12月26日・MEDIFAX web|
PPIようやくスイッチ化、要指導薬へ
厚生労働省の薬事審議会要指導・一般用医薬品部会は、プロトンポンプ阻害薬(PPI)3成分などのスイッチ化の可否について議論し、いずれも製造販売を承認し、要指導医薬品への指定を了承した。「承認後、少なくとも3年間の安全性等に関する製造販売後調査を実施すること」を承認条件とした。2009年に初めてPPIのスイッチ化が検討されてから15年を経てようやく実現する。
要指導薬への指定が了承されたPPIは、「パリエットS」「パリエット10」(有効成分名=ラベプラゾールナトリウム)、「オメプラールS」「サトプラール」(オメプラゾール)、「タケプロンs」(ランソプラゾール)。いずれも医療用からの転用で、効能・効果は「胃痛、胸やけ、もたれ、むかつき」。
事務局の厚労省によると、委員からは企業の製造販売後調査(PMS)に任せるだけではなく、適正販売のため厚労省でも別途調査を行い、結果によっては医療用医薬品に戻すことも含め検討すべきとの指摘があった。厚労省は「特例的に(国の調査として)対応するかどうかも含め、これから検討しないといけないと思っている」と説明した。
効能・効果の「むかつき」について、一般的には嘔吐・気持ち悪さにつながる状態を指すが「医療の背景がない方に同じように理解されるか疑問」との指摘を受け、今後医薬品医療機器総合機構(PMDA)で調整し、表現を修正する可能性がある。腸溶錠のタケプロンsの用法・用量の表現についても指摘があり、今後企業側と調整し変更する。指摘されたいずれの課題も、全委員がその対応を確認した上で承認することとしている。
ー 「ロゼレムS」も
このほか、「ロゼレムS」(ラメルテオン)の要指導薬への指定も了承した。効能・効果は、寝付きが悪いといった「一時的な不眠の症状の緩和」。委員からは効果を感じた使用者が服用上限とされる2週間で服用をやめることは難しいとの意見や、眠りの悩みを抱えやすい高齢者は転倒骨折リスクが高いとの懸念も示された。厚労省は、省内の関係課と情報共有し対応を検討する方針。
「マイフェミン」と「ミグリステンS」(どちらもジメトチアジンメシル酸塩)も要指導薬への指定を了承。委員からは特に指摘はなかった。効能・効果は「片頭痛・緊張型頭痛における頭痛発作の発症抑制および症状緩和」で、過去に医師の診断・治療を受けた人に限る。
3製品とも「承認後、少なくとも3年間の安全性等に関する製造販売後調査」を承認条件とした。
|2024年12月22日・PHARMACY NEWSBREAK|
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