2024.12.10

トピックス from Jiho[2024年12月上旬]

from Jiho[2024年12月上旬]

調剤過誤「業界全体の問題として受け止めて」、“店舗拡大ありき”に警鐘

 調剤過誤を巡る訴訟でスギ薬局と和解した遺族は記者会見で、今回の調剤過誤は薬剤師個人のミスとしつつも、そのミスを招いた根本的な原因は「薬剤師が不足している中で経営拡大を続ける企業・業界にある」と批判。今回の事案は「薬剤師業界全体の問題として受け止めていただきたい」と訴えた。

 

ー 2錠の差を見逃す「あり得ないミス」


 スギ薬局を提訴した遺族は、死亡した女性の長男と長女の2人で、長女は薬剤師資格を持つ。長女は薬剤師の立場から、今回の調剤過誤を「あり得ないミス」と断じた。

 スギ薬局の薬剤師は、死亡した女性の処方薬を調剤した際、直前の分包作業で分包機に残っていた別の患者の糖尿病薬を誤って混入させた。本来なら2.5錠ずつ入った薬包を28包用意するところ、そのうち7包に前の患者の「メトホルミン塩酸塩錠250mg」と「グリメピリドOD錠1mg」が1錠ずつ混ざり、4.5錠ずつ入った状態で女性に交付していた。

 長女は「2.5錠と4.5錠の差異を見逃すというのは、薬剤師業務としてはあってはならない初歩的なミス」と非難する一方、そのミスを招いた背景には「業界全体の問題がある」と強調。「薬剤師が不足している一方で薬局は増え続けている。きちんとした対応ができない、きちんとした指導ができる薬剤師がいない。その中で起こったミスだと思う」と述べた。

 メディア向けに示した和解報告の文書でも、今回の調剤過誤の根本的な原因は、「薬剤師の専門性を軽んじ、ドラッグストアの経営拡大のために調剤を扱う“数合わせ”として薬剤師を配置してきたことで、薬剤師が専門職の自覚を持って職責を果たす意識が職場で醸成されていなかった」ことにあるとの見方を示した。

 

ー スギ薬局側は「法定人員満たしていた」


 スギ薬局はじほうの取材に対し、当該店舗は「法定人員を満たしており、(調剤過誤を起こした)当日の業務量も通常の対応許容量に収まる範囲で運営していた」と回答した。提訴された薬剤師は調剤過誤が発覚した直後に社内規定に沿って処分し、現在は調剤業務に携わっていないとした。

 遺族側は、訴訟は終結しても「母の命が失われた事実が覆ることはない」とし、「二度とこのような事故を起こさないよう最善を尽くしてもらいたい」と訴えた。

|2024年11月22日・PHARMACY NEWSBREAK

「心不全服薬管理指導の手引」の動画公開

 日本薬剤師会は、日本心不全学会と共同で作成した「薬剤師による心不全服薬管理指導の手引き第1版」の解説動画を同会ウェブサイトで公開した。手引は2024年度診療報酬改定での「調剤後薬剤管理指導料2」の新設を受けて8月に作成。今回公開した動画は手引の理解促進を目的とし、プロジェクトの委員長を務めた新潟大循環器内科学の猪又孝元教授(日本心不全学会理事)や日薬の橋場元常務理事ら作成メンバーが出演している。

 猪又氏は動画の中で、今回の手引は初学者にも理解しやすい簡単な内容にまとめたと紹介。その上で「ぜひ手引書を手に取ってもらい、自らの地域・チームで展開し、不足の部分があればフィードバックをしてほしい」と呼びかけた。

|2024年11月25日・PHARMACY NEWSBREAK

卒業生の約5割が「薬局就職」の傾向変わらず

 薬学教育協議会は15日、今年3月に6年制薬学部を卒業した人の就職動向調査の結果を発表した。例年と同様、ほぼ半数がドラッグストアの調剤部門を含む「薬局」に、約2割が病院・診療所に就職していた。調査対象には薬剤師資格を持たない卒業者も含んでいる。

 対象となる卒業者数は9438人(2023年3月に卒業延期となり、今年3月までに卒業した1232名を含む)。就職先の割合は、保険薬局が28.1%、ドラッグストアの調剤部門が19.6%で、これら薬局には47.7%が就職していた。病院・診療所への就職は21.0%だった。

 行政関係では、国家公務員0.2%、地方公務員1.3%。医薬品関連企業など、薬局以外の企業への就職は8.8%だった。

 このほか、①進学2.0%、②就職せず3.8%、③未定(未報告を含む)11.0%―などだった。

|2024年11月15日・PHARMACY NEWSBREAK 

JCHO、病院薬剤師の確保へ独自のレジデント制度開始

 地域医療機能推進機構(JCHO)の山本修一理事長はJCHO地域医療総合医学会で、病院薬剤師を確保・育成する取り組みとして、JCHO独自の薬剤師レジデント制度を来年度から6病院で試験的に開始する方針を公表した。常勤薬剤師として採用し、2年間の研修を行うことを想定している。「変えよう、変わろうJCHO」と題する講演の中で語った。

 山本理事長は、国内では薬学部定員が多い一方、全国的に病院薬剤師が不足している状況について言及。初任給の額に差があるため学生が薬局などに就職してしまうとした上で、「そこ(金額差)をいきなり埋めるのはなかなか難しいが、臨床の現場で活躍できる薬剤師を育てる視点も重要」と述べた。

 学部の6年間で学びきれなかった臨床現場の知識・技術を学んでもらうことが狙いの一つだとし、「最終的に『一人前の薬剤師になりたかったらJCHOに就職しよう』というキャッチフレーズができればよいと考えている」と語った。

 山本理事長は本紙の取材に、「病院薬剤師の不足は病院経営者にも問題があると思う」と述べ、教育体制の強化と処遇改善の必要性を指摘した。来年度は6病院で各2人程度採用する見通しで、給与面については「平均的な額よりは高くしたい」との考えを示した。今後大学などに取り組みを周知する予定。

|2024年11月29日・MEDIFAX web


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