薬剤師も知っておきたいお金のコト｜税制改正大綱ってなに？
みなさんこんにちは。書籍『知らないと絶対損する 薬剤師のためのお金（マネー）の強化書』、愛称「薬マネ」の編集を担当したOです。
間近に迫ってきた令和7年度の税制改正。令和６年12月27日に閣議決定された「令和７年度税制改正の大綱」は財務省Webサイトで閲覧できますが、PDFファイルにして実に89ページにも及びます。改正点は多岐にわたりますが、私たちに直結してくるものにはどんなことがあるのでしょうか。
薬剤師も知っておきたいお金のコトについて、「薬マネ」に書ききれなかったことや発刊後の制度改正などについてお伝えしていきたいと思います。本記事では「薬マネ」の著者であるKeyさんに税制改正大綱についてお話を伺いました。
編集担当O
「薬マネ」には触れられていませんでしたが、そもそも税制改正大綱って誰が作ってどのように決めているのでしょうか？
Key
中長期的には政府の税制調査会が税制のあり方について議論していますが、その一方で政権与党の税制調査会において8月下旬くらいに各府省庁から出される要望について審議します。ここで12月半ばすぎくらいまでにまとめられるのが与党税制改正大綱（与党大綱）です。
これが年末くらいまでに閣議決定されると来年度の税制改正大綱となり、財務省が国税、総務省が地方税の改正法案を作成、翌年1月からの通常国会に提出し、審議のうえ可決すれば成立です。例年、おおよそ3月下旬頃に可決され、4月から施行といった流れです。
これが年末くらいまでに閣議決定されると来年度の税制改正大綱となり、財務省が国税、総務省が地方税の改正法案を作成、翌年1月からの通常国会に提出し、審議のうえ可決すれば成立です。例年、おおよそ3月下旬頃に可決され、4月から施行といった流れです。
編集担当O
与党税調が実質議論の場になるってことですか？
Key
安定政権の場合、政権与党の税制調査会が大きな力をもっているといえますが、2024年秋の衆院選で与党議席が過半数割れしたため、与党大綱には自公と野党である国民民主党の3党合意として「103万円の壁」の引き上げ、「ガソリンの暫定税率」の廃止という文言が記載されることになりましたが、その後の通常国会では合意には至らないまま、3月4日に衆議院で新年度予算案と税制関連法案が通過しました。
この2点は協議を継続するとしていることから、具体的にどうなるかはスケジュール面も含め先行きは不透明ですので、国会審議を注視していきたいと思います。
この2点は協議を継続するとしていることから、具体的にどうなるかはスケジュール面も含め先行きは不透明ですので、国会審議を注視していきたいと思います。
編集担当O
では、閣議決定された令和7年度の税制改正大綱の概要はどのような内容になっているのでしょうか？
Key
主な点としては、下記のとおりです。
これらの改正によって「賃上げと投資が牽引する成長型経済」への移行を目指すとしています。
これらの改正によって「賃上げと投資が牽引する成長型経済」への移行を目指すとしています。
（1）物価高や就業調整対策としての所得税の基礎控除額と給与所得控除の最低保障額の引き上げ
（2）大学生年代の子供に対する新たな控除の創設、老後の資産形成を促進するための確定拠出年金の拠出限度額の引き上げ
（3）中小企業の設備投資促進のための中小企業経営強化税制の拡充
（4）防衛力強化のための法人税の創設
（5）外国人旅行者向け免税制度の見直し
編集担当O
サラリーマン薬剤師にとっては（1）と（2）あたりが身近に影響してきそうに思いますが、具体的にはどのようなことがあるでしょうか？
Key
キーワードとしては、次のものがあげられるかと思います。もちろんこれ以外にもあるのですが、今回サラリーマン薬剤師に抑えてほしいポイントになりますね。
税制改正大綱とは少し話が逸れますが、厚生年金保険料の引き上げや、高額療養費制度の自己負担額の見直し、高校授業料の実質無償化などの動きもありますので、こちらも注目しておくとよいでしょう。
税制改正大綱とは少し話が逸れますが、厚生年金保険料の引き上げや、高額療養費制度の自己負担額の見直し、高校授業料の実質無償化などの動きもありますので、こちらも注目しておくとよいでしょう。
・「103万円の壁」の引き上げ
・企業型DCとiDeCoの拠出限度額の引き上げ
・iDeCo受け取り時の5年ルールの変更
・子育て世代の住宅ローン減税、生命保険料控除の拡大
編集担当O
ありがとうございます。これからの国会議論が気になるところです。
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メディカルタックスを立ち上げ、サイト運営・記事執筆を中心に行っている。1986年生まれ。大阪薬科大学（現 大阪医科薬科大学）大学院卒。薬剤師、FP２級、基本情報技術者、簿記２級。現在は製薬企業に勤めながら、副業で個人事業主として株式会社PASSMEDのサイト運営・SEO対策・記事執筆・監修、メディカルライター業に取り組んでいる。著書に『知らないと絶対損する 薬剤師のためのお金（マネー）の強化書』（じほう）、『薬剤師になったら最初に読みたい 大学で教えてくれなかったお金の本』（じほう）、共著『新薬情報オフライン』（金芳堂）。
